LINEから始まった、一冊ずつの対話
先日、LINEよりご相談をいただき、アートブックや限定本を中心とした蔵書をお譲りいただきました。
実は、LINEから古書の買取へと繋がるケースは、私たちにとって決して多くありません。とくに美術書や写真集の分野では、今回が初めてに近い出来事だったかもしれません。
お送りいただく前に、一冊ずつ写真を拝見し、状態や市場動向、これまでの取扱経験を踏まえながら査定を行いました。金額についても丁寧にお伝えし、ご納得いただいたうえで、今回のご縁となりました。
お譲りいただいた主な蔵書
今回お預かりしたのは、『VISIONAIRE』をはじめとするアートブックや限定本、現代美術の作家資料、写真やファッションに関わる希少書など。
いずれも、所有者の視点と選択眼が感じられる内容でした。
大量の本というよりも、「何を残し、何を手元に置いてきたか」が伝わる蔵書です。
全体に良好な状態で、長く大切に保管されてきたことが伝わってきました。
なかには時間の経過を感じさせる一冊もありましたが、それもまた、手元で過ごしてきた年月の証のように思えます。
価格だけでは測れない判断
私たちは、相場だけで本を見ているわけではありません。
その本が、どのような文脈の中で選ばれ、どのように保たれてきたのか。所有者の選び方に一貫性があるか。これまで私たち自身が、その分野とどれだけ向き合ってきたか。
そうした要素を総合して、ひとつの金額をご提示しています。
数字は、判断の結果であって、出発点ではありません。同じ一冊でも、どんな時間の中に置かれてきたかで、その意味は変わる。私たちはそう考えています。
モノは、行き先を選ぶ

古書を扱っていると、毎回思うことがあります。
モノには、どこか行き先を選ぶ力があるのではないか、と。
お譲りいただく立場になればなるほど、その感覚は強くなります。
受け取ったものを、単なる在庫として扱うことはできません。
誰かが長い時間をかけて集め、残してきたものだからこそ、次の持ち主へ渡るまでの時間も、丁寧でありたいと思っています。
今回、依頼者の方とのやり取りを通して、その思いを改めて感じました。
焦らず、ゆっくり向き合う時間
ちょうど現在、商品撮影用のカメラを修理に出している最中でした。
普段であれば、到着したその日に撮影と掲載準備を進めることも少なくありません。
けれど今回は、少し立ち止まり、焦らず向き合う時間を持つことにしました。
急いで世に出すよりも、一冊ずつ確認し、記録し、次の方へ手渡す準備を整える。
そのほうが、この蔵書にはふさわしいように感じています。
カメラが戻り次第、改めて撮影を行い、順次ご紹介していく予定です。
古書の買取は、「量」よりも「選んできた時間」を見ています
私たちは、冊数だけで判断することはありません。
少なくても、その人らしい選択が積み重なった蔵書には、きちんと向き合いたいと考えています。
美術書、建築書、写真集、限定本、デザイン書。
整理をご検討されている方は、まずはLINEからお気軽にご相談ください。
一冊ずつ拝見し、納得いただけるかたちで、ご提案いたします。
今回、ご依頼いただいたお客様にも、改めて感謝申し上げます。
大切な蔵書を託していただき、ありがとうございました。次の持ち主へ、責任をもって繋いでまいります。
大西 健
古書店「ヘルベチカ」店主。
福岡を拠点に
建築・デザイン・写真・美術など
視覚文化に関わる古書 を扱っています。


