東京の市場で仕入れた本のすべてを、私たちが持ち帰るわけではありません。
それは、怠慢でも効率化でもなく、判断です。

かつては、仕入れたものをすべて自分の手元に運び、検品し、管理し、販売していた時期もありました。
しかし、点数が増えるにつれて明確になったのは、「管理」こそが最も重い作業であり、同時に判断の精度を鈍らせる要因になる、という事実でした。

私たちは、すべてを抱える仕事を選びませんでした。
選ぶ仕事を選びました。


選ぶとは、残すことではない

古書の世界では、「選ぶ=価値のあるものを残す」と捉えられがちです。
しかし、私たちが考える選書は、もっと限定的です。

自分たちの目と基準を通し、
自分たちの役割として次へ渡すべきかどうかを判断すること。

それは必ずしも
「価値がないから扱わない」
という意味ではありません。

・いまの自分たちの棚に合わない
・別の文脈で生きる本である
・他の担い手のほうがふさわしい

そうした理由で、扱わないと決めることがあります。


選ばれなかった本の行き先

私たちの手元に一度やってきた本は、粗末に扱いません。
それは、価格の問題ではなく、扱い方の問題です。

本は、ある人にとっては人生を救うきっかけになり、
ある人にとっては、時に杖のような存在になることがあります。
その事実を、私たちは現場で何度も見てきました。

だからこそ、
私たちの役割ではないと判断した本も、簡単に捨てることはしません。

状態が著しく悪く、流通に耐えないものは処分します。
それ以外のものは、再び市場へ戻します。

市場とは、投げる場所ではありません。
次の担い手へ委ねるための循環です。


買取専門サイトとしての立場

「koshonokaitori.com」は、販売を行いません。
私たちは、すべての本を売る人間ではありません。
まず、選ぶ人間です。

買い取った本が、どの棚に並ぶのか。
どの人の手に渡るのか。
それをすべて自分たちで決めることはできませんし、するつもりもありません。

ただし、
どう扱うか、
どう判断するか、
どこまで責任を持つか、
その姿勢だけは、はっきりと示します。


最後に

すべてを持ち帰らない。
すべてを売らない。

その代わり、
選ぶことに責任を持つ。

それが、私たちが古書に向き合うときの基本姿勢です。
大切にされてきた本を託す先として、
その判断に納得していただける方と、静かに向き合っていきたいと考えています。

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